きこえのフェスタ実行委員会
実行委員長 中川 良雄

「きこえのフェスタ」は、主催は堺市きこえ支援協会、共催に一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会(略称:全難聴・窓口補聴医療対策部)、運営主管はきこえのフェスタ実行員会により開催します。

この催しは、テーマを「広げよう、きこえ支援の輪」とし、主に一般市民、難聴者、医療関係者、教育関係者、補聴機器販売従事者を対象に広く聞こえの情報提供と啓発を目的に開催します。

2日間に渡ってそれぞれ補聴器、人工内耳を主なセクションとし、機器展示、関連メーカーによる発表、各種セミナーを同時開催します。会期中のセミナーやシンポジウムでは当事者、関係団体、関係者を中心に課題を提示し、その解決に向けて情報を共有する場とします。

聞こえの問題、課題はその重要度に比して分かりにくいまま放置されてしまっている、と言っても過言ではありません。支援体制の整備、機器の供給の在り方の検討などは、早急に取り組む必要性があると感じています。

その大きな目的背景には「きこえの健康支援構想」の推進があります。今、難聴者の全国組織である全難聴では医療、リハビリ面での機能を持つ拠点作りをすすめよう、と取り組んでいます。難聴自覚者の人口増加に伴い、地域での医師による医療相談、専門職による検査、ひいては補聴器の装用調整や評価、人工内耳のマッピング等のリハビリ、心理ケアやカウンセリング等を含めた充実した対応が望まれています。

しかし、現在、補聴器供給体制は理想に程遠く、適応範囲が広がった人工内耳のリハビリ体制も充実しているとは言えません。見過ごされがちな心理支援については医療機関や専門職そのものが不足しています。

また、将来的に新分野として人工聴覚器や再生医療も現実のものとなるでしょう。反面、同時に新たなリハビリ体制の必要性も想起され、これらの機器やシステムの効果的な活用にも新たな社会資源が有効になると推測されます。

私たちの目指す聞こえの啓発活動は、まだまだその規模、機会が少ないのが現状です。しかし、きこえ健康支援の拠点実現にはその基盤づくりが欠かせません。そのためには、地道な作業ではありますが、聞こえ、難聴とは何か、その聞こえの多様性を説明すると同時に、直面する課題も合わせて提案、共有することが参加者の大きな気づきになる、と考えました。

このきこえのフェスタが、聞こえの啓発と同時に、地域におけるきこえの健康支援推進の出発点になることを期待しています。